結論:脂質(油)は「太る原因」ではなく、あなたの細胞・脳・神経・ホルモン・肌髪・炎症コントロールを作る材料です。
平常時のエネルギー源になるだけでなく、細胞膜の柔軟性、神経伝達の速度、脳の性能、栄養吸収、修復力まで左右します。だからこそ、**油の選び方ひとつで、集中力・意欲・体調・見た目まで“丸ごと変わる”**と言っても大げさではありません。
脂質は「エネルギー以外」が本番
前回までで、脂質が平常時の主要エネルギーになり得ることを扱いました。
今回のポイントはここです。
- 脂質は燃料にもなる
- しかしそれ以上に、身体の構造と情報伝達の素材になる
- だから良い油ならプラスに働き、悪い油ならマイナスが全身に広がる
役割1:細胞膜の材料になる
細胞膜は「玄関」であり「門番」
細胞の外側には細胞膜があります。これは単なる境界線ではなく、
- 必要な物質を取り込む
- 不要な物質をはじく
- 情報のやり取りを成立させる
という「玄関」「門番」の役割を持ちます。
脂質で作られるから、柔らかさが重要
細胞膜は脂質でできています。
脂質の質が良いと、細胞膜の柔軟性が保たれ、物質の出入りや情報伝達がスムーズになります。
逆に、膜が硬くなったり脆くなったりすると、
- 栄養が入りにくい
- 老廃物が出にくい
- 信号が届きにくい
という形で、エネルギー生成そのものが滞ることがあります。
役割2:信号伝達の要になる
神経は「電線」、ミエリンは「絶縁体」
私たちが考える・話す・動くといった機能は、神経細胞の信号伝達によって成立しています。
神経には軸索という“線”があり、電線のようなものです。
電線が正常に働くには、絶縁体(ゴムのカバー)が必要です。
神経でその役割を果たすのが ミエリン です。
定義:ミエリン
ミエリンとは、神経の軸索を覆う脂質中心の膜構造で、信号伝達を速く正確にするための“絶縁体”です。
ミエリンは主に
- コレステロール
- 飽和脂肪
- オメガ3
などで構成されます。
これらが不足したり質が悪かったりすると、信号が通りにくくなり、
- 思考が鈍る
- 頭がモヤモヤする
- 集中が続かない
といった“脳の出力低下”が起こりやすくなります。
役割3:脳は約6割が脂質でできている
脳は水っぽく見えますが、構成要素としては脂質が大きな割合を占めます。
特に重要なのが、
- コレステロール
- DHAなどのオメガ3(魚に多い)
です。
昔から「魚を食べると頭が良くなる」と言われたのは、完全な迷信ではありません。
脳の材料が脂質だからこそ、何で脳を作っているかが、そのまま思考のキレに反映されます。
役割4:炎症を抑え、修復を回す
身体は日常的に小さな炎症やダメージを受けています。
- 見えない炎症
- 軽微な組織損傷
- 代謝の歪み
脂質は、こうした炎症を抑え、修復を進める側にも関わります。
つまり、良い油が入ると「崩れにくい身体」になりやすい一方、悪い油が続くと「常に燃えている状態」になりやすい。
役割5:脂溶性ビタミンの吸収に必須
ビタミンには「油と一緒でないと吸収されにくいもの」があります。
- ビタミンA
- ビタミンD
- ビタミンE
- ビタミンK
定義:脂溶性ビタミン
脂溶性ビタミンとは、油に溶けやすく、脂質がないと吸収が進みにくいビタミン群です。
油を極端にカットすると、食事の質が良くても、
- 必要なビタミンが吸収できない
- 体調が整わない
- 修復が回らない
という状態が起こり得ます。
役割6:肌と髪は「油の膜」で守られている
髪や肌の状態は、見た目の問題ではありません。
体内の状態が外に出たサインです。
皮膚の表面には皮脂膜という油の膜があり、これが
- 乾燥を防ぐ
- バリア機能を守る
- 皮膚環境を安定させる
という役割を担います。
脂質が不足したり、質が悪い油で構成されると、
- 肌荒れ
- 髪質の低下
- 乾燥
- トラブルの慢性化
が起こりやすくなります。
油の質が悪いと、全身で「逆の現象」が起こる
脂質は、細胞膜にも脳にも神経にも使われます。
つまり、入ってくる油の質が悪いと、身体の重要な部分が“悪い材料”で作られてしまう。
その結果として起こり得るのが、
- 思考がモヤモヤする
- 集中力が湧かない
- 意欲が続かない
- 体が常に疲れている
- 栄養吸収がうまくいかない
- 肌と髪がボロボロになる
さらに、脂質が不足しても同じような問題が起きます。
材料が足りなければ、正常な構造が作れないからです。
今日からできる実装ポイント
ここでは「油の中身」には踏み込みません(次回テーマ)。
今回は、まず土台として次を押さえてください。
1. 油は敵ではなく必須材料と理解する
「油=悪」という思い込みがあると、必要量が入らず、パフォーマンスが落ちます。
2. 目的は減らすことではなく、質を整えること
脂質はゼロにすると壊れます。
設計としては「質の良い材料で作り直す」が正解です。
3. 変化指標を体感で持つ
脂質を整えると変わりやすい指標は次です。
- 思考の明晰さ
- 眠気の出方
- 肌と髪の状態
- 炎症っぽさ(だるさ、痛み、違和感)
- 集中の持続
FAQ
Q1. 油を摂ると太りませんか?
太るかどうかは油単体では決まりません。血糖の乱高下、総摂取量、代謝状態などの影響も大きいです。油は細胞・脳の材料として必須です。
Q2. コレステロールは悪者ではないのですか?
コレステロールは細胞膜やミエリンなどの構成要素として重要です。重要なのは「敵視してゼロにする」ではなく、全体の設計を整えることです。
Q3. オメガ3はなぜ重要ですか?
神経系や脳の構成、炎症のコントロールなどに関与するためです。脂質の質の代表的な指標になりやすい栄養素です。
Q4. 油を減らして体調が悪くなることはありますか?
あります。脂溶性ビタミンの吸収が落ちたり、細胞膜や神経の材料が不足したりすることで、思考・気分・肌髪などに影響が出ることがあります。
Q5. まず何を意識すればいいですか?
油を「避ける対象」から「必須の材料」へ認識を変えることが第一歩です。次に、悪い油で作られないように“選び方”を整えるフェーズに入ります。
要点まとめ
- 脂質は平常時の燃料であり、それ以上に身体の構造材である
- 細胞膜の柔軟性が情報伝達とエネルギー生成を左右する
- 神経のミエリンは脂質でできており、思考のキレに直結する
- 脳は約6割が脂質で、DHAやコレステロールが重要
- 炎症抑制・修復・脂溶性ビタミン吸収・肌髪にも脂質が必須
- 良い油ならパフォーマンスが上がり、悪い油や不足なら逆が起こる
次回は、油の「中身」と「扱い方」を具体化し、どの油がミトコンドリアと脳を味方につけるのかを整理していきます。