「日曜の夕方になると、急に気が重くなる」「明日の会議を思い出して、夜なかなか寝つけない」。こうした週末の終わりの憂うつは、俗に「サザエさん症候群」と呼ばれています。結論から言えば、これは病名ではありません。ただし、週の始まりを前にした心配が体の反応と結びついている可能性は、研究で示されています。
本記事では、サザエさん症候群について以下のポイントを中心に解説します。
- 日曜の夜に気が重くなる背景と、月曜をめぐる血圧やストレスホルモンの研究
- 日曜の夜を少し楽にするための、無理のない過ごし方
- 平日にも落ち込みが続くときの、相談の目安と相談先
ぜひ最後までお読みください。
サザエさん症候群とは
サザエさん症候群は、日曜の夕方以降に、翌日からの仕事や学校を考えて気が重くなる状態を指す俗称です。医学的な診断名ではありません。週末の楽しさが終わり、平日の役割に戻ることへの心配が、気分の落ち込みやだるさとして表れると説明されることが多い言葉です。
名前の由来と、海外での呼び方
名前は、日曜の18時30分から放送されているテレビアニメに由来します。番組が始まると「週末が終わる」と感じる人が多いことから、こう呼ばれるようになったと言われています。
同じような感覚は、日本だけのものではないようです。英語圏では、日曜の不安を "Sunday scaries"(日曜の怖さ)と呼ぶことがあります。月曜の気分の落ち込みは "Monday blues"(月曜の憂うつ)です。
日曜の夜の憂うつは「気の持ちよう」だけではなく、週の始まりに向けた体の構えとも関係しているのかもしれません。
では、なぜ日曜の夜に気が重くなるのでしょうか。次の章では、月曜をめぐる研究を見ていきます。
なぜ日曜の夜に気が重くなるのか
週の始まりを前にした心配が、体のストレス反応と結びついている可能性が、いくつかの研究で示されています。ただし、どれも「関連がある」ことを示したもので、心配が体の変化を引き起こすとまでは確認されていません。
平日は、起床後のストレスホルモンの上がり方が変わる
仕事の負担感や心配ごとが強い人ほど、平日の朝だけストレスホルモンが大きく上がっていました。ドイツの研究では、219人が土曜から6日間、起床直後と30・45・60分後に唾液をとりました。
その結果、起床後のコルチゾール(ストレスに対応するホルモン)の上がり方には、休日と平日で差がありました。慢性的な仕事の負担感と心配ごとが強い人は、平日だけ上がり方が大きく、休日には差が見られませんでした。体は、その日が仕事の日かどうかを前もって「構えて」いるのかもしれません。
月曜の朝は血圧が上がりやすい
日本の研究では、朝の血圧の上がり方は月曜が最も大きいという結果が出ています。地域に住む135人が7日間、24時間の血圧を測りました。
起きてから3時間の血圧の上がり方(モーニングサージ)は月曜が最も大きく、火曜を除くほかの曜日との差が確認されました。一方で、眠っている間の血圧には曜日による差は見られませんでした。研究者は、心臓や血管の病気が月曜の朝に多いという報告と合う結果だとしています。
退職した人でも「月曜の不安」は体に表れていた
月曜に不安を感じる人のストレス反応は、働いていない人でも同じように見られました。香港大学の研究者が、英国の50歳以上の3511人のデータを調べた研究です。
月曜に不安を感じたと答えた人は、ほかの曜日に不安を感じた人より、髪に含まれるコルチゾールが高い傾向がありました。コルチゾールが高い側の人たち(分布の上位10%の位置)で比べると、23%高かったと報告されています。ほかの曜日の不安では、このような差は見られませんでした。
注目したいのは、この関連が退職した人にも同じように見られたことです。仕事そのものだけでなく、「週の始まり」という区切りが心と体に影響している可能性があります。なお、この研究は観察研究で、高齢者を対象にしています。働く世代にそのまま当てはまるかは、確認できていません。

サザエさん症候群そのものを対象にした研究や、日本で何割の人が感じているかという信頼できる全国の統計は、確認できていません。ここで紹介したのは、あくまで「月曜」や「平日」をめぐる研究です。
気づきたいストレスのサイン
眠れない、お腹が痛くなる、怒りっぽくなるといった変化は、ストレスのサインのことがあります。国立精神・神経医療研究センターの「こころの情報サイト」は、こうした変化を「ストレスサイン」として紹介しています。
| 表れ方 | サインの例 | 日曜の夜に起きやすい場面 |
|---|---|---|
| 眠り | 眠れない | 布団に入っても明日のことが頭から離れない |
| 体 | お腹が痛くなる | 夕食のあとから胃腸の調子が落ち着かない |
| 気持ち・行動 | 怒りっぽくなる | 家族のささいな一言にいら立つ |
同サイトは、サインが出ても、ただちに心の病気というわけではないとしています。一方で、気づかないまま放っておくと、体調や気分を崩すおそれがあるとも書いています。自分のサインに早めに気づけると、休息や気分転換を早めに取り入れやすくなります。
日曜の夜を少し楽にする過ごし方
体をゆるめる時間をつくり、月曜の「最初の一手」を先に決めておくと、漠然とした心配を小さくしやすくなります。次のうち、できそうなものから取り入れてみてください。
体をゆるめる時間をつくる
夕方以降は、体の力を抜く時間を意識してつくるのがおすすめです。こころの情報サイトは、セルフケアとしていくつかの方法を挙げています。お腹を使ってゆっくり呼吸する、湯船にゆったり浸かる、軽くストレッチをするといった方法です。好きな音楽を聴く、窓の外をぼんやり眺めるといった方法も紹介されています。
お酒で紛らわせない
気の重さをお酒で紛らわせるのは、控えたほうがよいとされています。同サイトは、飲酒は睡眠の質を下げ、気分を不安定にすることがあると注意しています。日曜の夜の一杯が習慣になっている人は、量や時間を見直してみてください。
寝だめで体内時計をずらさない
休日に遅くまで寝ると、日曜の夜に眠りにくくなることがあります。平日と休日で起きる時間が大きくずれると、体内時計が乱れやすいためです。詳しくは「休日の寝だめで疲れが取れない理由|社会的時差ボケ」で解説しています。
月曜の最初の一手を決めておく
ここからは編集部の提案です。日曜の夜の心配は、「何から手をつければいいか分からない」という漠然とした形をとりがちです。そこで、金曜の帰り際か日曜の昼のうちに、月曜の朝いちばんにやることを1つだけ書き出しておく方法があります。
やることが具体的になると、考える範囲が狭まり、ぐるぐる考え続けることを減らせるかもしれません。ただし、この方法の効果を確かめた研究は見つけられていません。合わないと感じたら、無理に続ける必要はありません。
誰かに話す
話を聞いてもらうだけで、気持ちが軽くなることがあります。こころの情報サイトは、家族や友人、同僚など、日ごろから気軽に話せる相手を増やしておくことを勧めています。

仕事のことが夜まで頭から離れない場合は、仕事と私生活の境目のつくり方も参考になります。「仕事から気持ちが切り替わらない|自律神経と境界の話」もあわせてご覧ください。
気が重い原因が「仕事そのもの」のとき
毎週のように強いつらさがある場合は、日曜の過ごし方を工夫するより、仕事の負担そのものを見直すことが先かもしれません。過ごし方の工夫は、あくまで気持ちを整える手助けです。原因が職場にあるなら、そこに手を入れないと、つらさは繰り返しやすいと考えられます。
仕事のストレスは、負担と資源(周りの支えや、自分で決められる裁量など)のバランスで捉えられます。負担が大きいのに支えが少ない状態が続いていないか、一度整理してみてください。考え方は「仕事のストレス要因|負担と資源のバランスで読み解く」で解説しています。
勤め先に産業医や保健師がいる場合は、仕事の量や働き方について相談することもできます。上司に直接言いにくいことも、まずは専門職に話してみる方法があります。
平日にも続くなら相談を
一日中気分が落ち込む、何をしても楽しめない、眠れない、食欲がないといった状態が続くなら、自己判断せずに専門家へ相談しましょう。こころの情報サイトは、うつ病の症状としてこうした心と体の変化を挙げています。そのうえで、うつ病かなと思ったら、精神科や心療内科などに相談するよう勧めています。
日曜の夜だけでなく、平日にも気分の落ち込みが続いているかどうかは、一つの目安になります。ただし、何日続いたら受診すべきかという公的な日数の目安は、確認できていません。つらさが強いときは、日数にこだわらず早めに相談してください。
働く人の心の不調については、厚生労働省の「こころの耳」に電話やメールで相談できます。電話相談の番号は 0120-565-455 です。受付は月曜〜金曜の17時〜22時、土曜・日曜の10時〜16時です(祝日・振替休日・年末年始を除く)。日曜の夕方も受け付けています。

よくある質問
サザエさん症候群は病気ですか?
病名ではなく、日曜の夕方以降の憂うつを指す俗称です。ただし、平日にも気分の落ち込みや眠れない状態が続く場合は、別の不調が隠れていることもあります。その場合は、精神科や心療内科などに相談してください。
退職したり休職したりすれば、なくなりますか?
必ずなくなるとは言えません。英国の研究では、働いていない高齢者でも、月曜の不安とストレスホルモンの関連が見られました。仕事を離れることだけで解決すると決めつけず、気持ちのつらさそのものにも目を向けることが大切です。
日曜の夜にお酒を飲むと楽になりますか?
一時的に気が紛れることはあっても、おすすめはできません。飲酒は睡眠の質を下げ、気分を不安定にすることがあるとされています。月曜の朝をより重く迎えることにもつながりかねません。
学生にも起こりますか?
翌日の学校を考えて気が重くなる人もいるとされます。ただし、学生を対象にサザエさん症候群を調べた研究は、確認できていません。お子さんの様子が続けて気になる場合は、学校の先生やスクールカウンセラー、医療機関に相談してください。
何日続いたら相談すべきですか?
公的な日数の目安は確認できていません。日曜の夜だけでなく平日にも落ち込みが続く、眠れない、食欲がないといったときは、日数を待たずに相談してください。こころの耳の電話相談は、日曜の夕方も受け付けています。
まとめ
サザエさん症候群は、日曜の夕方以降に翌日の仕事や学校を考えて気が重くなる状態の俗称で、病名ではありません。一方で、月曜の朝の血圧や平日のストレスホルモンについての研究があります。そこからは、週の始まりに向けて体が構えている様子もうかがえます。日曜の夜は、体をゆるめる時間をつくり、お酒で紛らわせず、月曜の最初の一手を決めておくといった工夫から試してみてください。毎週つらさが強いときは仕事の負担を見直し、平日にも落ち込みが続くときは早めに相談することが大切です。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の効果効能や治療を保証するものではありません。気分の落ち込みや眠れない状態が続く・つらい場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。
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参考文献
- Chandola T, Ling W, Rouxel P. Are anxious Mondays associated with HPA-axis dysregulation? A longitudinal study of older adults in England. J Affect Disord. 2025;389:119611.
- Schlotz W, et al. Perceived work overload and chronic worrying predict weekend-weekday differences in the cortisol awakening response. Psychosom Med. 2004;66(2):207-14.
- Murakami S, et al. Repeated ambulatory monitoring reveals a Monday morning surge in blood pressure in a community-dwelling population. Am J Hypertens. 2004;17(12 Pt 1):1179-83.
- 国立精神・神経医療研究センター こころの情報サイト「うつ病」
- 国立精神・神経医療研究センター こころの情報サイト「ストレスとセルフケア」
- 厚生労働省「相談窓口を探す(メンタルヘルスや健康)」
編集:Wellstate編集部(編集長 川村啓太)



